東北医科薬科大学 糖尿病代謝内科

診療案内

教授挨拶

私たちは糖尿病、肥満症、脂質異常症などの代謝疾患と甲状腺、下垂体、副腎などの内分泌疾患の診療、教育そして研究を行っています。糖尿病の治療には自己管理行動(セルフケア)が欠かせません。患者さん自身が病気を良く理解し、日々の生活の中で食事療法や運動療法などを取り入れながら自己管理できるよう、医師、看護師、管理栄養士などのスペシャリストが応援します。当教室は糖尿病代謝内科の初代教授である赤井裕輝先生により患者さんの自己管理行動(セルフケア)を高める技術の研究開発を行なってきました。多職種連携による糖尿病チームを結成し、集学的治療による糖尿病性腎症の寛解や膵島機能回復を目指した治療を実践し、その有用性を発信してきました。

令和5年からは私が2代教授として教室運営を引き継ぎました。糖尿病は膵臓、肝臓、骨格筋、脂肪など様々な臓器の代謝異常のバランスの崩れから発症します。近年、インクレチンを分泌する消化管や生体のエネルギーバランスを統括している脳の糖代謝調節における重要性も分かってきました。このように、これからの糖尿病診療には各臓器間連関を理解することが必要となります。また、糖尿病の合併症には細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)と動脈硬化性疾患(虚血説心疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)があり、これらの進展、発症を阻止することも重要です。そして、糖尿病領域では毎年のように新しい治療薬や治療機器(CGMやインスリンポンプなど)が誕生していることから、当科では新しい治療を積極的に取り入れ、最良の治療を提供するとともに臨床研究を推進してきました。

令和7年からは医学部教室再編に伴い、内分泌疾患も担当することとなりました。内分泌診療の経験が豊富な専門医により甲状腺や下垂体、副腎などの内分泌器官を扱い、ホルモン分泌異常をきたす内分泌疾患の診断・治療を行っています。安静採血、採尿検査、超音波検査、CT、MRI、内分泌負荷試験などを行い、専門的な診断および治療を提案します。日々の診療で1人1人の患者さんを丁寧に診察し、検査結果を慎重に読み解き、症例検討会で深堀りすることにより発展する症例ベースの研究はphysician scientistとして重要と考え、学会発表や英文症例報告を推奨しています。また、豊富な診療実績から下垂体機能および副腎疾患のデータ解析(抗体検査、遺伝子検査を含む)のほか、クッシング病の診断と薬物療法の開発(新規ソマトスタチン受容体アゴニストなど)、視床下部におけるcorticotropin-releasing factor (CRF) 遺伝子発現の調整機序の研究などを行っています。

私たちは卒前および卒後教育にも力を入れ、若い先生方に代謝疾患と内分泌疾患の魅力を伝えたいと考えています。新専門医制度では内分泌疾患と代謝疾患の両方を経験することで「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医」を取得できるようになりました。当科では内分泌疾患および代謝疾患の診療上のあらゆる問題に対処できる臨床能力を獲得できるような専攻医プログラムを用意しています。さらに、本格的な研究をしたい方には医学研究科 医学専攻 博士課程(いわゆる大学院)へ進むことも可能です。臨床経験を積みながら博士課程を履修できる社会人大学院の制度も用意しています。これから「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医」を目指し、さらには、興味がある研究を開始、展開したいと考えている専攻医師の先生方の参画を大いに歓迎します。

教授 澤田正二郎