東北医科薬科大学 糖尿病代謝内科

研究紹介

抄読会
2024年度
2024年6月11日

Internet of things-based approach for glycemic control in people with type 2 diabetes: A randomized controlled trial.
Bouuchi R, et al.
J Diabetes Investig 2024 Online ahead of print (PMID: 38712947)

(教授コメント)
PRISM-J研究は2型糖尿病患者を対象としてIoT (internet of things) を活用したアプローチが長期にわたる血糖コントロールに有用であるかどうかを調べた研究です。1159人の2型糖尿病を有する成人を無作為にIoTベースのアプローチ群 (ITG) 群とコントロール群 (CTG) に割り付け、ITG群は体重、血圧、身体活動の概要と食事と運動に関する行動変化を促すフィードバックメッセージがIoT自動化システムで提供されました。主要評価項目は52週間にわたるHbA1cの変化でしたが、群間に有意差を認めませんでした。しかし、IoTを毎日活用していた患者に限ったPer Protocol解析ではHbA1cの低下が認められたことから、IoTに親和性のある患者さんには有用なアプローチだと思います。今回の研究では血糖情報を収集していないIoTシステムでしたが、今後、血糖情報が加わったIoTシステムではどのような結果がでるのか楽しみです。


2024年5月7日

Short-term recovery of insulin secretion in response to a meal is associated with future glycemic control in type 2 diabetes patients.
Enkaku A, et al.
.J Diabetes Investig 2024 Apr;15(4):437-448. (PMID: 38151917)

(教授コメント)
富山大学病院に血糖コントロール目的で入院した2型糖尿病患者を対象とした臨床研究です。入院食を摂食後に上昇する血中Cペプチドの変化をインスリン分泌指標として3つ(index A, B, C)提唱し、入院時と比べて退院時で増加したそれらの指標は、将来の良好な血糖コントロール維持を予見しうる可能性を述べています。入院という短期間におけるインスリン分泌能の回復の程度を指標とした研究は今までになく、われわれの日常診療に応用できる有益な論文でした。